やふそ紅型工房
やふそ紅型工房
2015年頃銀座にある沖縄のアンテナショップさんからご相談をいただいた。沖縄産の生地を使ったカフェ草履や小物の制作依頼だった。ちょうど私の方でも浴衣事業を始めていた時でそれなら沖縄らしい浴衣を作りませんかという提案をした。
実は沖縄に浴衣はない。ないというか沖縄では浴衣を生産していないのだ。織りとなると芭蕉布を筆頭に首里織、琉球絣、花織などがあり、紅型という染めもあるが浴衣はなかった。そこで紅型の柄を使ってエキゾチックな浴衣ができないかと思い付いた。
紅型のデザインをモチーフにして、浴衣に映える柄を配置してそれを僕の生産背景で作る。カレンブロッソが無理を言って別注する形なので紅型工房さんにも迷惑は掛からない。それが設計図だった。
芭蕉布工房の平良さんとともに仲良くさせていただいていた屋冨祖さんに相談ができた。「新しい浴衣を作りたい。浴衣らしい柄を教えてください」というお願いにご快諾いただいて、いくつかの柄を教わった。ただ、紅型の特徴である「隈取り」という紅型の職人ならではのぼかしが再現できるかどうかがブレイクスルーポイントであった。そこをクリアしなければならなかった。
時間はかかった。ご案内いただいた図柄から優秀なデザイナーさんが見事に大胆な広がりのあるデザインを制作してくださった。そして、隈取りのぼかし具合の問題はトリエの寺本さんのアイデアと技術でクリアできた。