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草履の革命児 華麗なるカレンブロッソの秘密 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.19

気づけば増えるカレンブロッソ、きものファンなら「分かる!」という方は多いはず。そのおひとりでもある古谷さん、人気の秘密を探るべく大阪・谷町の本店まで廣田裕宣社長を訪ねました。

 

「カフェぞうり」とは! そうきたか、な商品力

20年ほど前、最初に「菱屋カレンブロッソ」なる草履を見たとき、カジュアルきもの派の下駄草履ね……と一瞥していた私。

ところが今、きものの日の足元は、ほぼほぼカレンブロッソという愛用ぶり。

履きやすい、軽い、疲れない、少しくらいの雨もへっちゃら、割合とお手頃価格、と五拍子も揃ってしまう!

加えて「カフェぞうり」という秀逸なネーミングで新時代の草履文化を形成したとも言える、一度履いたらやめられないカレンブロッソくん。

開発秘話を伺いに、大阪・谷町の本店に廣田裕宣社長を訪ねました。

 

 

3代目 廣田社長の心意気

「菱屋」の前身は現社長の祖父が起こした「廣田一栄商店」で、草履の鼻緒のみを扱う店だったそう。

その後、奉公先だった菱屋からのれん分けされて菱屋の屋号を受け継いで、約100年。初代から一貫してオリジナルにこだわってきた歴史があります。

3代目 裕宣氏は高額年収で知られるキーエンスに就職、編集プロダクションを経て30歳目前で家業に携わるようになったという経歴の持ち主。もともと展開していた和装品のシリーズ「花ごよみ」から「calender of blossom ⇒ カレンブロッソ」と、洒落たブランド名にしてしまう発想も(同業者だけに)納得です。

そんなイメージ優先商品の雰囲気がありますが、これだけ多くの人に愛用されるのには秘密があるはず……

古谷:私は3足持っていますが、初期のものからソールが変わりましたよね?

廣田:はい、はじめはクレープソールを使っていたのですが4、5年前からビブラムソールにしました。

古谷:ビブラムソール!男性誌編集者時代にさんざん原稿を書きました。

イタリアの世界的なアウトソールのメーカーで、登山家が開発したラバーソールですよね。いまやファッションシューズからスポーツシューズまでビブラム率高しです。

廣田:ビブラムソールに変えて、3割ほど軽くなりましたね。わかります?シマウマ柄。うちのブランドアイコンであるシマウマをこんな素敵な模様にしてくれたんです!

古谷:ほんとだー。しかもかかとがカットされているんですね。

廣田:ここをカットすることで跳ね上げ防止になっているんです。

古谷:わー、そこまでは見ていなかったです!カレンブロッソはある意味、草履の概念を脱ぎ捨てたことで成功したと思うのですが、よく思い切りましたね。

廣田:2001年くらいに和がベースの洋装バッグを先に作って、当時東京のファッション基地と言われた自由ヶ丘で販売していました。

外国人の方も多いのでサンダルのような草履も作ったら「これ、きものに履いてもいいの?」と言われたのがきっかけです。欲しい人がいるなら作ってみようと……(笑)。

カレンブロッソの草履は、従来の草履と素材も仕組みも新しい発想のもとに作られています。

普通の草履は、コルクの台に革素材、鼻緒の紐を底まで通してすげる、のが主流。

対して、コルクよりも弾力性に優れるEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー スポーツシューズに使われるもの)を台に使用、天で鼻緒を止めるため、一部の商品を除いて、すげ替えやすげの調整ができませんが、そこを思い切って諦めたところが画期的と言えます。

廣田:東北の方から「冬に鼻緒が凍らなくていい」と言われました。雨草履として作っているわけではないですが、底がゴム素材で穴が空いてないので、雪の降る地域に喜ばれましたね。

それと、天の素材を探していたときにファニチャー素材に出会ったのが大きかったですね。伸びる、滑らない、色が落ちない、微妙なカラーバリエーションが揃う……カレンブロッソのファッション性に一役かってくれていると思います。

古谷:そうなんですよね、カレンブロッソの魅力はきものの足元のお洒落の解放というか、自由度があるんですよね。色も素材もいろいろで、見ているだけで楽しいです。

廣田:素材の開発が好きなんですよ。秋にはシマウマ柄の印伝が登場します。

この琳派のシルバーシリーズ、秀逸でしょう?琳派の屏風の箔の雰囲気がすごくよく出せたと思って、とても気に入っています。

本店は工房も兼ねていて、敷地内で職人さんが各パーツを製作しています。ちょっとだけ見学させていただきました。

どの作業も手作業が多く、天の微妙なカーブの作り方など職人さんの手の感覚が生かされていることがわかります。

デザインの自由度が一番の魅力!

人気商品だけに、”みんなが持っている感”のあるカレンブロッソ。

じつは私の3足のうち2足は六本木一丁目の某店で開催されたオーダー会で作ったもの。

そう、オリジナルです(自慢)!

台を選び、天と鼻緒・前つぼをチョイス。選んでいる時間が楽しくて仕方ありません。

このオーダーは大阪・谷町のカレンブロッソ本店以外は顧客管理が煩雑なのであまり実施されていない、つまりお客さんに向き合ってくれるお店でしか開催されません。また実施される店舗によって選べる鼻緒のバリエーションが違います。

私の4足目は、10月6日から開催される京都きもの市場 横浜店のカレンブロッソオーダー会で!と目論見みは尽きません。

SHOP

菱屋カレンブロッソ
谷町本店

大阪府大阪市中央区谷町6-18-5
営業時間 11:00~19:30(不定休)

菱屋カレンブロッソ
東京ミッドタウン店

東京都港区赤坂 9-7-1 D0314
東京ミッドタウン 3F
営業時間 11:00-21:00(不定休)
【営業時間について】
当面の間、11:00-20:00閉店となります。

菱屋カレンブロッソ
日本橋店

東京都中央区日本橋室町3-2-1
コレド室町テラス 1F
営業時間 10:00-21:00(不定休)
【営業時間について】
当面の間、11:00-20:00閉店となります。

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